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夏目漱石の初版本『鶉籠』の謎

最近、多いのが外国人の来客。この日もラテン系の男性から、お土産に漱石の猫と坊ちゃんをほしいといわれ、それならと近代文学館の初版復刻版を探してみました。『吾輩ハ猫デアル』は3冊本がすぐに見つかりましたが、坊ちゃんは・・・。ないですと言いかけて、はたと気づきました。『鶉籠』の中に収められていることに。
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「坊ちやん」「二百十日」「草枕」の三作を合せて本書が初刊行されたのが明治40年のこと。だから、「坊ちやん」や「草枕」という書名の初版本はいくら探してもないわけです。
その外国人は日本語は全然読めないようでしたが、「猫」はカバーに猫の絵が描かれているのですぐに理解してもらえました。「鶉籠」も念のため、タイトルとは一致しないけど中に「坊ちゃん」が含まれている旨説明してお買い上げいただきました。珍しいものが手に入ったと喜んでもらえてよかったです。
ところで、『鶉籠』にはなぜ傾向のちがう3作が同時に収録され、個々の題名とは別の書名が冠せられたのでしょう。連作や三部作という認識があったのでしょうか。漱石自身の序文には「集中収むる所三篇、取材一ならず、趣旨固より同じからず。著者はただ此三篇によつて、其胸中に漂へる或物に一種の体を与へたるを信ず。」とあります。はぐらかしめいて意味不明瞭ですが、とにかく3作続けて読んで漱石という作家の全体像を理解してくださいと、そういう気概のあらわれだと思います。実際、まず親しみやすい「坊ちゃん」を冒頭に、短編「二百十日」でワンクッション置き、難解で深遠な「草枕」を最後にという構成美には感心します。
「鶉籠」の書名の由来は籠の中の女性を表すとか諸説ありますが、鶉=小さくて雅びな鳥を盛った籠、単純に珠玉の作品集といった意味合いかと思われます。今の文庫本ではばらばらにしか読めませんが、本書で三作続けて読んでみたら、作者の意図するところが、あるいはわかるかもしれません。
by chirindo-tensyu | 2010-07-17 10:46 | Comments(2)
Commented at 2013-06-23 19:31 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by かわぐち at 2013-08-31 20:18 x
ああ、そうか。そう、思いました。勉強になります。腿にノートパソコンという姿勢でなければ、ポンと膝を打ったことと思います。

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