奈良の古本屋・智林堂店主のブログ 古書買取強化中


古書店店主がつづる本と旅に明け暮れる日々..  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  【 智林堂書店 】     (電話)0742-24-2544   近鉄奈良から徒歩5分 もちいどのセンター街内 
by 智林 椰子生(ともばやし やしお)
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数百円の本を買うにもシビアな客が増えている

フィンランドの湖畔の田舎町サヴォンリンナに滞在中のこと。ご存じのように北欧は物価が非常に高い。夕食は軽くすませようと、1軒のファーストフードっぽい店に入った。店内には誰も客はおらず、スタッフの黒人男がいるだけ。メニューをざっとみて、やめとこうと踵を返した瞬間、「シット(くっそー)!」という叫び声が。その語勢の強さに驚きながら店を出た。彼はきっと遠い国から出稼ぎに来ているのだろう。その日はほとんど客が来ず、売り上げにならなかったに違いない。やっと来た客にも去られて頭にきたのだろうが、商売人の態度としてはいかんなあやっぱり。
でもまあ、店をやってて客が来ず、売り上げが伸びないと気がすさむのは確かだ。世間の景気はよく知らないが、最近シビアな客が多くて困る。来ても買わない、値段だけ聞いて買わない客が多いような気がする。
サドの文庫本2冊組みで500円の本を400円にならんかと執拗に迫る若い男性客。そりゃ、殺生な。「もっとお買い上げいただいたら(値引きを)考えなくもないですけど」と、こっちもやむなく数を買わせる作戦に出たが、他の本を選ぶフリをして結局何も買わずに出て行った。400円なら買うけど500円なら買わないってどういう心理なんだか。
一方、光村推古書院のコンパクトな写真集をお選びの様子の老夫婦。5冊くらいひっぱりだしたのでレジ袋を用意して待ちかまえていると、なにやら相談して全部戻して出て行ったのにはがっくり。数百円の本を選ぶにも夫婦で相談して、しかも買わないとは。この時は私も「シット!」と大声で叫びたくなった。
手に取った以上は買わずにいられない、そんな品揃えと値つけをめざしているが、どうも空振りに終っているような気がする。この先、経営戦略の見直しをさらに迫られそうだ。
by chirindo-tensyu | 2011-09-30 20:00 | Comments(0)

奈良の製墨匠・古梅園にまつわる古文書資料と書道書

「墨の香や奈良の都の古梅園 漱石」と俳句にも詠まれた奈良の老舗・古梅園。もと職員のご子孫から貴重な関連資料をお譲りいただいた。
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『墨に生きる』古梅園(昭和49)限定版。墨の写真頁にそれぞれ実際に刷った墨の見本刷和紙を貼りこんである。何と手間のかかった贅沢な本であろう。
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『古梅園墨談』(昭和4年)。昔の製墨の様子がよくわかる貴重な絵入和本。これは後に他の本と合わせ『古梅園墨譜』として復刻されている。
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『古梅園製墨型録』なんていう戦前の商品のパンフレットも。龍紋・虎紋の華麗な装飾がほどこされた大型の円形墨など、もったいなくて使えたものじゃない。観賞用か、金持ちの道楽用かな?
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きわめつけは『古梅園印譜 初編』。序文には宝暦とあり、江戸期18世紀の板行であろう。相当痛んではいるが、保存用帙に入れられ大事に保管されていたことがうかがえる。
その他、書道関連書多数入荷。しばらくは頭を書道モードに切り替えて取り組まねば・・・。
by chirindo-tensyu | 2011-09-29 16:30 | Comments(0)

名著のにおいがしたゾンマーフェルト『理論物理学講座』

偏食をしないようにと幼い頃からしつけられてきたが、それでも食べ物の好き嫌いはある。レバーと貝類は子供の時から苦手だ。ただ、貝なら何でも拒絶反応ということでもなく、気が向けば寿司屋で鳥貝なぞをつまむこともある。
さて、店番中にかかってきた1本の買取依頼の電話。理工書が数百冊あるという。理工書は当店の不得手分野だ、第一内容がさっぱりわからん。そういって断りかけたのだが、他に文芸書もあり、好きなのだけを選りわけて持っていってもかまわないという。場所を聞くと、近辺のマンションだったのでとりあえず台車を引いて見に行ってみた。
依頼主は元大学教授で、リフォームのため蔵書を整理するとの意向。
文芸書は花田清輝の著作集や初版本、『武谷三男著作集』『戸坂潤全集』これらはいける。でも、いかにも硬い本ばっかだね。
理工書は色々。経営工学、流体力学、有限要素法、多変量解析、複素関数、確率論、遺伝的アルゴリズム、カタストロフィー理論・・・書いているだけで頭が痛くなってきた。でも、見捨てるのは惜しい専門書群だ。選り好みしてる場合じゃないぞ、智林堂。結局1山いくらで値を踏み、3往復して店に運びこんだ。コンピューター関連書や売れそうにないのは残してきた。
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ゾンマーフェルト『理論物理学講座』全6冊、何となくレアっぽく、名著のにおいがしたがどんなものだろう。
整理していると、依頼主自身の著書が複数冊出てきた。大学の講義で使っていたテキストらしい。先生をやめると自分の著書もいらなくなっちゃうのかな。まあ、そうだろうな。
by chirindo-tensyu | 2011-09-25 17:00 | Comments(2)

ドカベンこと香川伸行のサインボール

水島新司『ドカベン』は以前、始めの20巻ばかりたまたま客買いで入手。読み始めると結構面白く全部読んでしまったが、ほとんどの長編シリーズ漫画がそうであるように、後の方の巻は冗長かつワンパターン気味になり、それ以上続きを、少なくともさらに買ってまで読んでみたいとは思わなかった。その『ドカベン』も、ちりんちゃんの子供が読みたがっているというのでそっくり進呈。「読みあきたら返してな」といっておいたが、また男の子が産まれたので当分返ってこないかも?
それはさておき、先日の宅買いの荷の中にプロ野球のサインボールが2個あった。
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ひとつは「ドカベン」の愛称で親しまれた元南海ホークス・香川伸行他のサイン入。漫画の主人公に体型が似ているというのでそう呼ばれたが、一時は太りすぎて大変だったとか。
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もう一個は何やら英文字でびっしりサインが書かれているが、私はスポーツ方面に疎いので誰がだれだかさっぱり。
いずれにしてもそんなに価値のあるものとはおもえないのだが、とりあえずヤフオクに出してみよう。
by chirindo-tensyu | 2011-09-22 20:05 | Comments(0)

黄金の「アリストテレス全集」

「古本屋は売って儲け、買って儲け、つまり往復ビンタで儲け」るのであると、志多三郎『古本屋入門』は説く。
それはおかしい、買っただけなら逆に赤字ではないかと思う向きもあろう。私は業者だから、著者の言わんとするところはおおよそ解る。
古本を現金と同じような価値を持つ別の通貨、ないし地金のようなものと考えてみよう。ドルや地金を相場より安く買えたとしたら、その時点で「儲かった!」と感じるのでは。もっとも、いくら安くても経済の不安定な国の通貨やクズ鉄ではあまりそうは喜べないが。
さて、ひさびさの宅買いがあった。店にリストを持ってこられ、例によって「日本の歴史」「世界美術全集」旧版の「漱石全集」「荷風全集」など、二の足を踏むような内容だったが、「アリストテレス全集」が混じっているのをみて行く気になったのだ。「プラトン全集」は一度手がけたが、アリストテレスの全集はまだ扱ったことがない。未知の本との出遇いは気がはずむ。
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近日中に引越すというお宅に伺うと、玄関先に全集が積まれていた。単行本や文庫がほとんどないのを不審に思って訊けば、先にブックオフが来て持っていったという。なるほど、よくあるパターンだね。でも、残しておいてくれてよかったな。
別にコインや切手、万博グッズなどもあるというのでそれらも鑑定。旧五百円札と百円札の束があったがそれは「両替になりますから置いとかれたほうが」と除外し、古銭や外国コインなどはいただいてきた。また、整理が大変だな、これは。
by chirindo-tensyu | 2011-09-21 11:04 | Comments(0)

トンボ鉛筆モノ消しゴムをヤフオクで買ったら奈良の業者だった

消耗品でよく使うのはレジ袋、ガムテープ、セロテープ、マジックなどであろうか。これらは安ければメーカーは問わない。どうせ消耗品だし。発送をやっているとガムテープの消耗がとくに激しい。これはホームセンターで自社ブランドのを1箱50個単位で購入。
鉛筆と消しゴムだけは指定のメーカーがある。鉛筆は三菱のユニの2Bと4B。本の値段を書き入れるのに、紙の素材などによって2種を使い分けている。
消しゴムはトンボのモノ。大きさは大小さまざまあるが、やや大きめの方が使いやすいようだ。以前カウネットで小サイズ40個入りの業務用を買ったのが切れてしまい、買いなおすことになった。カウネットはその後カタログを送ってくれないので、アマゾンで探したがどれも送料が高い。それならヤフオクだ! 大サイズ10個入りパックを100円から出している人がいたのでこれに狙いを定める。もちろん、100円で買えるわけがなく、競りあがっていたが1000円で自動入札して寝てしまった。定価なら2000円の商品だが、定価で買う人はいまい。送料はメール便80円でいいという。
翌朝、見ると930円で無事落札できていた。競争相手は920円であきらめたらしい。送料を入れるとちょうど1000円になるからな。私の先読み勝ちだ!
出品者は奈良市内の知らない文具店の業者だった。文具も最近は百円ショップやスーパーでの安売りにおされて専門業者は大変だろう。赤字覚悟でヤフオクにでも出していかないとやっていけないのかなと思ったりした。まあ、おたがいがんばろう。
by chirindo-tensyu | 2011-09-20 16:07 | Comments(0)

太田静六『世界の城郭』シリーズはやはり西ヨーロッパ寄り

昔、アルザスの山上のケーニヒスブルク城を訪れた。往きはタクシーで揚々と行ったが帰りの足がなくなってしまい、道端で片っぱしから声をかけてフランス人のカップルの車にやっと乗せてもらって帰ってきたのであった。古城は不便な所にある場合が多いので足の確保は忘れずに・・・。
さて、ヨーロッパの城の本といえば、井上宗和の著作が有名定番だが、概説的でやや物足りない気がしていた。
太田静六「世界の城郭」シリーズ(既刊4冊)は評価のできる仕事だ。著者は建築史家だけあって、その方面の記述も充実。図面があるのもうれしい。
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『ドイツ・北欧・東欧の古城』は、これまであまり紹介されることのなかったロシア・東欧諸国を取りあげているのが特徴。ただ、東欧と銘うつにはハンガリーはブダ王城のみ、ルーマニアやブルガリアは黙殺というのはあまりにもさびしい。それらの国々の城は小規模で地味なものが多いが、だからといって軽視はできまい。依然、日本人好みの西欧寄りの編集なのだ。制約のある個人の仕事としてはこれくらいが限界なのかなと思うが、本来は北欧と東欧でそれぞれ1冊くらいのヴォリュームがほしいところ。
誰か東欧の城を網羅した決定版を出してくれぬものか。
by chirindo-tensyu | 2011-09-18 17:25 | Comments(0)

天地書房の姉妹店・なんば書籍の閉店を惜しむ

千日前の天地書房の隣のビルの地下に系列店・なんば書籍ができたのはいつの頃だったか。通りかかるたびに覗いていたが、この8月から休業するとの貼紙が。一時的な休業かと思っていたが、9月になっても依然シャッターが降りているのでたまりかねて隣の天地書房で訊くと、ネット販売に専業するため、店舗は閉鎖し、再開の見通しはないとのこと。何ということだ!
開店当初よりネットに力を入れていたようなのでやむをえないかなと思うが、駅前の一等地だけにもったいない気もする。
「これからはネットで買ってください」と事もなげに天地の女性はおっしゃるが、漫然と何かないかなあと覗き、あるいはネット販売からはみ出たような安い本を目あてに来る私のような客にとっては、やはり店がなくなるというのは寂しいことだ。
なんば書籍は地下にあり、荷物が多いときは階段を降りていくのが少々苦痛でもあったが、せっせと通っていた。『会津八一全集』『定本・庄司浅水著作集 書誌編』その他郷土史関連など貴重な本を多数頒けていただいた。
穴蔵のような雰囲気で、じっくり本を探すのには好条件だった。もっとも、夏場はなぜか下水道の臭いが漂ってきてそれには辟易したが。
それがもう、訪れることがかなわぬのだ。上六の戦前からあったという鰻の寝床みたいな天地書房の旧店がなくなったときもショックだったが、今回も衝撃を受けた。それだけ、店売りが厳しいということであろう。もう、他人事とは思えないのである。わが智林堂もいつまで続けられることやら・・・。
by chirindo-tensyu | 2011-09-16 20:32 | Comments(4)

節電対策で見えてきたメリットとは

「この店、何だか暗くなったねー」と、久しぶりにご来店のお客さん。
そう、節電対策が全国的に叫ばれだした初夏から、当店でも蛍光灯を5本も間引いて営業している。
たしかに暗く感じるが、本の背文字が読めないほどではなく、ご不便を承知の上での緊急措置だ。ブックオフでも暗い店があったし、近鉄電車の駅などでもやっている。
ひとつには来客数が半減し、光熱費を節約しないといけないほどせっぱつまっているという事情もある。今なら大勢の理解が得られるだろうと思い踏みきったのだ。おかげで電気代は千円程度になった。エアコンもつけていないし、ひと月50kwh位しか消費していないのだ。
あと、以前からの悩みの種は天井付近の本の日焼が進みやすいことで、特に全集本など置きっぱなしにしていると、美本のつもりが気づけば日焼で価値が大きく下がっていたというおそろしい事態になる。その意味でも電灯を減らすのはメリットがあろう。高価な本はハトロン紙に包んでタイトルを書いた紙を貼るなどの日焼対策も講じていきたい。ただ、購買意欲をそそるには生の状態で見せた方が得策で、そのジレンマをどうするか。
この夏、節電に取り組んでいかに今まで電力を無駄遣いしていたか思い知ったという人も多かろう。その国民的波及効果は大きかったと思う。
by chirindo-tensyu | 2011-09-12 08:10 | Comments(0)

天牛堺書店で買った北尾鐐之助『近代大阪』

天牛堺書店は大阪府下にあるチェーン古書店で、何店かはしごしながら買いまわるのは楽しみだが、あまりディープに通いつめると思わぬしっぺ返しをくらうことがある。
たとえば、天下茶屋店で280円均一があったとする。その数日後に三国ヶ丘店の330円均一狙いでいくと、先日の天下茶屋の売れ残りがそっくりそのまま出されていてがっかりということも・・・。せいぜい見落としを拾うくらいだ。値段も50円高くなっているのは不思議だが、逆に値下りしてまわってくるパターンもあり、内容がウブいものか否かもふくめ、この辺は運不運の差が大きい。
あと、店舗によっては津久野店のように均一棚のスペースが小さく、時間と交通費をかけていっても何も買えなかったこともある。店は新本と兼ねているのでこれは仕方ないのだが。
比較的古書店らしい店構えでハズレが少ないのは船場店。均一も常時3種類、それ以外のレギュラーの品揃えも充実している。とくに郷土史関係に力を入れているようだ。
ここで北尾鐐之助『近代大阪』を発見。
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いわずと知れた戦前の名著の復刻版。この復刻版の方も探すのは容易ではなくなってきた。さすがに数百円というわけはなく、白帯が巻かれそれなりの値段がついていたが、うーんと考えながら買ってきたのであった。
by chirindo-tensyu | 2011-09-11 17:14 | Comments(0)

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